心からX68kを愛する筆者が、X68030購入を機に、これにMPU68040を載せ、高速・ハイパワーなマシンに変貌させるためのボードを自作することを思い立ちました。  本書は、040turboと名付けられたこの計画を、さまざまな試行錯誤の末に実現させた男の制作奮闘記です。040turbo取扱説明書付き。 ■はじめに 「X68/040turbo」この名前を見て、オッと思った人もいるでしょう。しかし、残念ながら、X68シリーズの新機種ではありません。これは、私の愛機のことを勝手にそう呼んでいるだけです。でも、この名前はダテじゃありません。  本体はX68030ですが、マザーボードのプロセッサソケットには、68EC030のかわりに040turboと名付けたドータボードが挿さっており、この上に、名前のとおり68040が搭載されているのです。  もちろん、040turboは既製品ではありません。個人的な68040への思い入れで作った手作りハードウェアです。しかし、パソコン通信を通して多くの人の賛同を得たことから、プリント基板を起こして一般公開し、参加者の数も50人を超えるまでになっています。  そして、公開されたフリーソフトウェアが多くの人の手でさらによいものに磨き上げられていくように、この040turboも参加者みんなの手によって磨かれてきました。今やHuman68kの使用はほとんど支障がないレベルにまでなっていますし、NetBSDも68030バージョンの移植と並行して、68040バージョンの移植もいち早く行われました。  しかし、ここまでくるのは決して簡単ではありませんでした。この本は、X68030登場からほぼ1年、040turboに明け暮れた日々を綴った、040turboのメイキングストーリーです。 「040turbo製作編」は、040turbo誕生のストーリーです。 「番外奮闘編」は、040turbo対応のプログラムを作ってくれた方に寄稿してもらった、それぞれの奮闘記です。  付録1 「040turbo取扱説明書」は、040turboの「取扱説明書」を再編集したものです。 040turboに関するすべての技術情報が、ここに詰まっています。 1994年4月 BEEPs